心願にひびく言葉

二度とない人生を⑭

森信三 2025/11/06公開

石の趣きが解かり出すということは、物事がわかり出した一つの微標ともいえよう。というのは、この世俗的な相対界を多少は離れかけた一微表といってもよいからである。 「三十五歳前後、唯一の趣味は石であった。但 ・・・

二度とない人生を⑬

森信三 2025/11/03公開

名・利というものは如何に虚しいものか。しかも人間はこの肉体の在するかぎり、その完全な根切りは不可能といってよい。 先生の数多い著述の中でも、めずらしい「隠者の幻」と題する小説風のものがあります。元東京 ・・・

二度とない人生を⑪

森信三 2025/10/23公開

一日不読 一日不喰 書物は人間の心の養分。読書の一面からは、心の奧の院であると共に、また実践へのスタートラインでもある。 森先生のモットーとされたところは「行余学文」です。これは論語の学而篇にある「行 ・・・

二度とない人生を⑩

森信三 2025/10/23公開

幸福とは求めるものでなくて、与えられるもの。自己の為なすべきことをした人に対し、天からこの世において与えられるものである。 引き続き、森先生の一代記について略記すれば、恩師西晋一郎先生の勧めによって、 ・・・

二度とない人生を⑨

森信三 2025/10/21公開

絶対不可避なる事は、即絶対必然にしてこれ「天意」と心得べし。 我が身にとって避けようと思っても避けられないことには、自己にとって必然最善と思って甘んじてお受けするだけではなく、これぞ天意にして天命なり ・・・

二度とない人生を⑦

森信三 2025/10/17公開

つねに腰骨をシャンと立てること これ人間の性根の入る極秘伝なり。 私は三十八歳の時、始めて森信三先生にお会いして以来、実に人生こと、学問のこと、読書のことから、日常生活の細事に至るまで、計り知れない教 ・・・

二度とない人生を⑥

森信三 2025/10/14公開

われわれ人間は、いやしくも「生」この世にうけた以上は、それぞれの分に応じて一つの「心願」を抱き、それを最後のひと呼吸まで貫かねばならぬ。 森信三先生は、よく「内に心願を秘めて」とおっしゃいました。そし ・・・

二度とない人生を⑤

森信三 2025/10/14公開

「死」は人生の総決算である。肉体の朽ち果てた後に、なお残るものは、ただ、肉体が動いている間い為した真実のみである。 徳川時代三百年の間で、いちばん有名な詩人の頼山陽が、十三歳になった正月に、「十有三春 ・・・

二度とない人生を④

森信三 2025/10/10公開

「死」の徹見即「生」の充実。 「死」の絶望にボールを投げつけ、そのはねかえる力を根源的エネルギーとし、日々を真剣に生き抜くべし。 この言葉は、「人生二度なし」の内容をより具体的に象徴的に説かれたもので ・・・

二度とない人生を②

森信三 2025/10/07公開

「信」とは、人生いかなる逆境をも、神仏からわが為に与えられたものとして、回避しない「生」の根本態度をいう。 先生の名言の一つとして、「逆境は神の恩寵的試練なり」とありますが、本項はこの短言名句の解説に ・・・