二度とない人生を⑮

Release: 2025/11/15 Update: 2025/11/15

いかなる人に対しても、少なくとも一点は、自分の及びがたき長所を見出すべし。

人間関係において、どうやら人間は本来わがまま上にスキ・キライの感情があって、これがまた相性といわれるものですが、そうした人間関係の一切の悩みを解決する一つの極秘術は「長所発見」であり「美点凝視」でありましょう。と言ってもなかなか容易ならぬもので、一朝一夕のことではありませんが、その努力の集積を怠らず、言語表現として、口にし、かつ表記することの大事さは申すまでもありません。森先生も修学の愛知師範の後輩に、浅野春一先生という教育者がおられましたが、その先生は挿毫を頼まれると、いつも「人の美点の愛者たれ」と書かれたとのことです。また先日鳥羽を訪ね、感性論哲学を打ち出された芳村思風先生に初めて接する機会を得ましたが、その際「愛の実力者たれ」という印象深い一語を頂戴いたしました。それにつけても「和顔愛語」の感化力は、想像を絶するものがありましょう。

「人の美点の愛者たれ」「愛の実力者たれ」――この二つの言葉は、これからの人生においてもしっかりと心に留めておきたい言葉です。 人の長所を探すというのは実に難しいものです。 その逆、つまり短所や欠点の方はすぐに目につくものですし、どうしてもそちらに意識が向いてしまいます。 けれど、よく考えれば長所も短所も、どちらもその人の一部であり、見る側の心の状態によって見え方が変わるのかもしれません。

「人生二度なし」という視点から見れば、嫌な人と無理に付き合うことも確かに辛いことですが、 それもまた何かの学びや縁の一つと考えれば、少し心がやわらぎます。 社会生活とは、人との関係そのもの。 だからこそ、その中でどう自分を整えるかが大切なのでしょう。

すぐにできることではありませんが、少しずつでも「美点凝視」の姿勢を身につけたいと思います。 複雑な心持ちではありますが、せっかく一度きりの人生です。 人の長所を見つめる生き方を、自分の習慣としていきたいと思います。

#心魂にひびく言葉 #森信三 #寺田一清

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