第十話 人道は欲を制して成り立つ

人道とは人がつくるものなんだから、自然に放っといても行われていく天理とは全く別のものなんだよ。
天理というのはたとえば春には芽が出て、秋には枯れるとか、乾いたものには火がよくつき燃えやすいとか、水は低いほうへ流れるといった具合に、昼夜をとわず動き、変化する。この法則は永遠に変わらないものなんだな。
これに対して人道というのは天道のように自然のまま放っとけば、たちまち駄目になって行われなくなるんだ。つまり人道というのは、情欲のままに気のむいたことだけやるといったような気ままなやり方では成り立たないものなんだよ。
たとえば広々とした海原には道というものがないように思えるが、船道をきめて、そこだけを通るようにせぬと、岩に当たって座礁したりする。道路も同じで自分のひとりよがりの考えだけで勝手に行けば突き当たったりすることがある。言葉も同じだよ。それぞれが言いたい放題のことを言えばたちまち喧嘩になったりするだろう。
要するに、人道というのは欲を抑え、情を制し、努力を重ねてようやく成り立つものなんだな。おいしい食べ物や奇麗な着物が欲しいのはあたり前のことだが、こういう気を抑え、我慢して、収入の中であらかじめ消費に割り当てた部分だけで賄ってくように厳しく心配りをせねばだめなんだ。働かないで楽をして、しかもぜいたくな暮らしをしたいと願うのも同じで、好きなお酒をひかえ、ぶらぶら何もしないでいるのを戒め、欲しいと思ううまい食べ物や美しい着物を我慢して、倹約を心掛け、その結果余裕が生じたら、それを他人に譲ってやったり、または、自分が将来必要になった時のために準備をしておくというような場合に心掛けていかなければならんのだ。これが人道というものなんだぞ。
天理は変わることのない自然の摂理であり、人道は人の手で築かねば維持できぬ規律の道。二つの違いを見誤ると、人は「なるようになるさ」と自分を甘やかし、組織もまた自壊の道を歩みかねません。
情にまかせて生きることは、いわば舵を手放して荒海を進むようなものです。だからこそ、人道には「抑制」と「節度」が必要になる。どんなに正しい道も、維持には不断の努力がいる。経営も同じで、どれほどよいビジョンや理念があっても、それを実現するための仕組みと習慣がなければ、やがて形骸化してしまいます。
「欲を抑え、情を制す」――この言葉は、経営における健全な意思決定にも通じる教えです。短期的な快を追わず、長期の秩序と成長を選び取る。その積み重ねが、人道を築き、組織を支える柱となるのだと改めて思います。
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今日は読んでいる時間がありませんでした。リンクを画像付き出来てページが華やいでよかったです(笑)
今日もはここまでです。
ありがとうございます。
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