第三十一夜 貧富の道理

火を制するのは水。陽を保つものは影。世に富者があるのは他方に貧者がいるからだ。
この貧富の道理は、ようするに寒暑、昼夜、水火、男女などみな相手方とお互いに力を合わせ、もち合って受け継いでいくのと同じで、これけっきょく循環の道理なんだよ。(一六一)
この世におけるすべての現象は、対立と調和、そして交代によって成り立っている。寒と暑、昼と夜、水と火、男と女、そして富と貧もまた、その一つである。
火は水によって抑えられ、光は影があることで輪郭を持つ。富者が存在するということは、同時に貧者の存在を意味する。つまり、物事は一方だけで成立することはなく、互いに支え合い、受け継がれながら循環している。
この循環は自然の摂理であり、人間の営みにも深く浸透している。栄えれば衰え、貯めすぎれば枯れる。だからこそ、偏りを是正し、調和を保とうとする意志と行動が求められるのだろう。
貧富の差は単なる経済的な格差ではない。そこに人間社会の循環の理が働いている限り、単に富むことを目指すのではなく、「どう循環の中で役割を果たすか」が問われている。
今日もはここまでです。
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