二度とない人生を⑳
お互い人間の悩みは、すべて比較より生ずる。 さればひと度比較を絶した世界へ躍入せんか、人は初めて天地の間に卓立して、所謂天上天下唯我独尊の境涯となる。 「一切の悩みは、比較より生ずる」という、先生の短 ・・・
お互い人間の悩みは、すべて比較より生ずる。 さればひと度比較を絶した世界へ躍入せんか、人は初めて天地の間に卓立して、所謂天上天下唯我独尊の境涯となる。 「一切の悩みは、比較より生ずる」という、先生の短 ・・・
たった一枚のハガキで、しかもたった一言のコトバで、人を慰めたり励ましたり出来るとしたら、世にこれほど意義のあることは少ないであろう。 「私は人生の達人には到底なれなくとも、せめてハガキ書きの達人になり ・・・
わたくしには、なんど聞いても飽きぬ話が三つある。一つは(地蜂の)蜂の子とりの話。次はやまめ釣りの話。そして最後は富山の薬屋の新規開拓の苦心談。 この話に一番の興味を示して下さったのが、京大教授の幇芳賀 ・・・
金の苦労を知らない人は、その人柄がいかに良くても、どこか喰い足りぬところがある。人の苦しみの察しがつかぬからである 哲学者の森信三先生の語録に、「お金」に関するものが、意外に多いのにお気付きでしょう。 ・・・
石の趣きが解かり出すということは、物事がわかり出した一つの微標ともいえよう。というのは、この世俗的な相対界を多少は離れかけた一微表といってもよいからである。 「三十五歳前後、唯一の趣味は石であった。但 ・・・
名・利というものは如何に虚しいものか。しかも人間はこの肉体の在するかぎり、その完全な根切りは不可能といってよい。 先生の数多い著述の中でも、めずらしい「隠者の幻」と題する小説風のものがあります。元東京 ・・・
人間は一生のうち逢うべき人には必ず逢える。しかも一瞬早すぎず、一瞬遅すぎない時に― この言葉は、森先生の語録のうちでも比較的に人口に膾炙され、数多く引用されるコトバです。というには、もっと早い時期にこ ・・・
一日不読 一日不喰 書物は人間の心の養分。読書の一面からは、心の奧の院であると共に、また実践へのスタートラインでもある。 森先生のモットーとされたところは「行余学文」です。これは論語の学而篇にある「行 ・・・
幸福とは求めるものでなくて、与えられるもの。自己の為なすべきことをした人に対し、天からこの世において与えられるものである。 引き続き、森先生の一代記について略記すれば、恩師西晋一郎先生の勧めによって、 ・・・
絶対不可避なる事は、即絶対必然にしてこれ「天意」と心得べし。 我が身にとって避けようと思っても避けられないことには、自己にとって必然最善と思って甘んじてお受けするだけではなく、これぞ天意にして天命なり ・・・