二度とない人生を⑦

つねに腰骨をシャンと立てること これ人間の性根の入る極秘伝なり。
私は三十八歳の時、始めて森信三先生にお会いして以来、実に人生こと、学問のこと、読書のことから、日常生活の細事に至るまで、計り知れない教えの恩恵をいただきましたが、その中でも、とりわけその最大なるものを一つ挙げよと問われますと、まず第一にこのお答えするのは、この「腰骨を立てる」を教えられたことです。この「腰骨を立てる」ということは、(一)腰椎は、その方へぐんと押しやると同時にお尻を強く引くという、ただこれだけのことです。そして(二)肩の力を抜くと同時に下腹にやや力のこもった状態(これを”丹田充実”と言う)ただこれだけのことです。この状態を、いやしくも目の覚めてる間は、持続し続けること、そして(三)男子は膝と膝の間をこぶし二つ半くらいあけ、女子は膝と膝をあけず割箸のごとく定着させること、が肝要を言われております。
気にかけていても、やはり緩むときがありますね。 筋肉のつき方や体の使い方にも問題があるのかもしれません。 机に向かっている時間が長いせいか、どうしても左に重心が寄ってしまいます。 長年の姿勢の悪さというのは、なかなか解消できないもので、いわば“パソコン世代”の典型のようなものかもしれません。
しかし、森信三先生の「腰骨を立てる」という教えを読むと、これは単に姿勢を正すという以上に、“生き方そのもの”を正すことだと感じます。 腰骨が立つと、気持ちもスッと引き締まり、心に一本の芯が通るような感覚があります。 姿勢の乱れは、心の緩みでもあるのかもしれません。
丹田に気をためるという感覚は、小学生の頃、カンフーや気功に興味を持ったときに意識していた場所でもあります。 体の中心に意識を集めることの大切さは、今になってようやく少しずつ実感できるようになりました。 これからは、ふと気がついた時にでも、腰骨をシャンと立て、心と体を一つに整えるようにしたいと思います。
#心魂にひびく言葉 #森信三 #寺田一清