第八夜 人つくったものは放っておけば滅びる

ほととぎすなきつるかたをながむれば ただ有明の 月ぞのこれる
この歌の意味は、たとえていえば、昔の鎌倉時代には首都として繁華を極めたが、いまでは、その跡だけが残っていてもものさびしいありさまだなあ、とその感慨無量の心境を詠んだもので、これはただ鎌倉のみのことではないんだ。
今は住宅や倉など立ち並び、家族、使用人と大勢で賑やかにやっていても、一旦失敗すると倒産して家だけが残りさびれてしまうんだ。こわいことだ、慎まなければならん。すべて人の造ったものというのは何か事があると全部なくなってしまって、残るは天然の者だけになってします。
よく味わってその深い意味を知らねばいかんぞ。
「ほととぎすなきつるかたをながむれば ただ有明の 月ぞのこれる」――この歌に添えられた翁の言葉は、ただの風情を詠んだものではなく、人の営みのはかなさ、栄枯盛衰の真理を深く突いたものでした。
かつて賑わいを極めた土地も、時の流れとともに静まり返り、自然だけが変わらず残っている。その姿に、繁忙を極める現代の私たちの暮らしもまた、決して永続的なものではないという警告を感じます。
事業や暮らしがどれほど充実していても、ひとたび気を緩めれば、すべてが音もなく崩れていく。だからこそ、奢らず、慢心せず、日々を丁寧に積み重ねること。人の手で築いたものの儚さを知ることで、私たちは逆に、今なすべき行いの重さを知るのだと思います。
今日もはここまでです。
ありがとうございます。
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