男の意地|3月16日のことです。
仕事にかかる時は、帯を締め直さねばならぬ。太古の人たちは、野山で切り取ったかずらを腰に結び、平安朝時代のみやびおは石で飾りをつけた帯を束帯の上にしめた。 帯が地肌にしめられたものが「ふんどし」である。 ・・・
仕事にかかる時は、帯を締め直さねばならぬ。太古の人たちは、野山で切り取ったかずらを腰に結び、平安朝時代のみやびおは石で飾りをつけた帯を束帯の上にしめた。 帯が地肌にしめられたものが「ふんどし」である。 ・・・
母親の胎内に十カ月のやすらぎの成長を遂げると、呱々の声と共に、外界に生まれ出てくる。 その時、肉体は別になるが、呼吸のリズムは、母親と同じ調子に、ちょうど時計のネジをかえられたようにキチキチと同じセコ ・・・
見るは、知るの端である。知ることによって、敬が高まり、和が強まり、愛が深まる。まさに歌境に入る出発点は、見ることである。じっと見ることである。そのまま見ることである。 見ることによって、形、色、香と性 ・・・
金銭は、流通する性質をもっています。二倍の速さで動けば、分量は半分で足りるわけです。金銭を生かすとは、なるべくはやくこれをまわすことです。支払いの金は、一刻もはやく払わねばならぬ。いつも金庫がからにな ・・・
世に楽しみは多い。好きな物をたべる、美しい物を見る、よい着物をきる・・・・いろいろの喜びの中で、どれほどつづけるも、如何にひどくても、いよいよ高まり深まって行くのは、働きに伴う喜びである。 地味で素朴 ・・・
古来、官史・教育家、その他いわゆる俸給者は、多くの物質をもつと、だらだらするのである。それは、物質のかかわりない生活をすべき天職にあるからである。 官史や学校の先生や警察官なんぞが、富商のように豪華な ・・・
ツバメは春きて、軒端に巣を作り、子を育てて、秋には南に飛んでいく。ミツバチは一団の社会を作って、けんかもしない。どのツバメは不幸でどのミツバチは幸福ということはない。 そうした中に、人間の社会だけは、 ・・・
人は人、自分は自分と別々のいきものだと考えるところに、人の世のいろいろの不幸がきざす。 実は人はわが鏡である。自分の心を映す映像にすぎぬ。 親子、夫婦、交友、隣人、すべてわが鏡であって、わが心のままに ・・・
夫婦がうまくいかぬ、養子や嫁と新しい父母との間が悪い、子供が不良である、兄弟仲がまずい―これは世に珍しくない家庭の悩みである。 それが、その中の誰か一人、倫理をふんで心・行いを改めると、一人ががらりと ・・・
いわゆる人生の四苦の第一、肉体の苦痛は、精神のゆがみ、生活の不自然の影にすぎぬ。 第二、物質についての悩みは、いやしい欲心のかたまりの反映である。物の欠乏は、心の欠乏の影である。 第三、他人にこうあっ ・・・